小津安二郎監督と東哉



小津安二郎監督は黒澤明監督と並び世界的に評価される日本映画の巨匠として知られています。
小津監督の映画はドラマチックなストーリー展開があるわけでもなく、一見淡々とした日常が描かれているにすぎないのにそこから日本人の生活と人生の滋味が滲み出てきて、みるものを懐かしい気持ちにさせます。
どの作品もカットのひとつひとつが美しく、何度でもみたくなる中毒性があると言われています。

小津監督の映画の美しさを支えた小津組のなかで「巧芸考選」というスタッフが東哉の先代当主 山田隼生であり、山田は小津監督の要望に応え、大道具でもなく小道具でもなく、芸術、工芸など日本文化のアドバイスに務めました。
お茶に関する事や床の間の花器など、小津監督独自のカメラアングルの低さからみたテーブル上の器の置き方なども示唆しました。
何物でも本物にこだわる小津監督は、ちょっと端しか映らないものでも偽物を嫌い常に本物を用意させたそうです。

小津監督の初めてのオールカラー作品である「彼岸花」をはじめ4〜5作品のお手伝いをさせて頂きましたが、そこに東哉の器が使われたのは言うまでもありません。
現在も実際に映画に使われたものと同じ花器や湯呑等を造り続けています。
また東京銀座の東哉本店は、小津監督がスタッフとよく銀座を遊興した時の集合場所で、店の奥の座敷でテレビを見たりして皆が集まるのを待ってそれから呑みに出かけられたそうです。
現在は東哉ビルとなって当時の面影はありませんが、東哉の造る品物のなかには小津監督に求められた一流の感性が今も生き続けています。
京都売舗では映画に使われていた竹製の電気傘や釣り灯籠など、山田が選んで用意した物が残り今も使われています。


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OZU 120: THE COMPLETE OZU YASUJIRO
アメリカ東海岸のボストン郊外にあるハーバード大学が運営するハーバード・フィルム・アーカイブは、大学の有する機関としては世界最高峰の映画アーカイブとして知られています。
そんなハーバード・フィルム・アーカイブは日本を代表する映画監督である小津安二郎の生誕120を記念し”The Complete Ozu Yasujiro”(完全版小津特集)を6月9日より開催。
東哉の先代当主 山田隼生は「巧芸考選」というスタッフとして小津監督の要望に応え、大道具でもなく小道具でもなく、芸術、工芸など日本文化のアドバイスに務めました。
今回の記念展では、映画の中で使われていたお湯呑など数点を展示協力させて頂きました。
【開催場所】:ハーバード・フィルム・アーカイブ(Harvard Film Archive)
【開催期間】:2023年6月9日(木)〜8月13日(日)※終了しました
【詳  細】: 小津安二郎生誕120年記念”The Complete Ozu Yasujiro”(完全版小津特集)がハーバードにて開催
OZU 120: THE COMPLETE OZU YASUJIRO

Presented by the Harvard Film Archive and Shochiku, in partnership with the Reischauer Institute of Japanese Studies and the Japan Foundation, this complete Ozu Yasujiro retrospective offers the rare opportunity to see all of Ozu’s extant films screened on 35mm. Five new prints were created for this occasion as the first installment of a multi-year partnership with Shochiku to create a legacy 35mm collection at the HFA, a partnership that will be celebrated with a special event in September. Seen together, Ozu's impressive oeuvre demonstrates the industrial method of a prolific artist who distilled cinema to its most essential elements over three decades of filmmaking.
Among the Ozu group that supported the beauty of director Ozu's films, the staff member known as the "Takugei Kansen" was Tosai's previous head, Hayao Yamada. Instead, I provided advice on Japanese culture such as arts and crafts. He also suggested things related to tea and how to place the vases on the table, such as the vase in the alcove, seen from director Ozu's unique low camera angle. At the Yasujiro Ozu Special Exhibition at Harvard University this time, we exhibited several items such as the hot water cup used in the movie.
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OZU 120: THE COMPLETE OZU YASUJIRO